人気ブログランキング | 話題のタグを見る


情報社会のなかの難聴jの世界 (後半)

さて、次は、
大学での難聴者・聴覚障害者に、目を向けていきましょう。

大学におけるノートテイク、
これも、難聴・聴覚障害の世界では、
この4,5年での新しく、大きな動きだと思います。

ノートテイクについての紹介をしたHPが、あります。

ノートも紹介してあります。

それから、
沖縄大学でのノートテイクの話も報道されています。

ここで紹介されている学生の田中さんは、旅行で沖縄が気に入り、
進学先も沖縄と決めていたそうです。
そして、入った沖縄大学でこのように支援体制が立ち上がり、
かなり本腰が入っています。

岡山でのノートテイクのニュースもありました。
関係者の方、来られているのでしょうか?
どこにいるのかな?

そして、
このノートテイクの世界で、
先のほうを行っていると思われる群馬大学の紹介が、
こちらです。

ノートテイクについても、
午後の教育分科会で、ふれる予定です。

しばらく、スライドはお休みして、
図書館の世界についてお話をします

みなさんは、県立図書館で、
ほかの図書館の本を借りて読むことができる、
のをご存知でしょうか?

先にインテグレーションという言葉を出しました。
この頃、いろいろなところで出てくる新しい言葉です。
この言葉の元には、ノーマライゼーションと言われる考え方があります。

この機会に、
ノーマライゼーションについてキチンと目を通しておこうと、
思い立ち、
関係重要資料が本になっていないか、
と社会科学のカウンターで調べてもらいました。

すると、

『国際連合と障害者問題』

という重要関連決済文書が岡山大学にあったので、
早速岡山大学から取り寄せてくださり、
そのカウンターで手にすることができました。

県立図書館には、無い本でも、
このように、他の図書館にある本を、借り出して読めるのです。

実は、その後、
この本は、県立図書館に、入っており、
私の持っているのが、その本です。

図書館と図書館とがつながっている話を、
聴覚障害に関係のある本を例にとって、
さらに、二つほどご紹介します。

手話の世界では有名な伊東さんという方の著作集を、

『伊東雋祐著作集 手話と人生』

以前、市立図書館で希望しましたら、
これは、県立図書館で買って頂きますので、
お待ちくださいと言われたことがあります。
後で、県立図書館から市立図書館にまわして、
読むことができました。

一つの図書館の窓口が、他の図書館へとつながっている、
と実感させられました。

もうひとつ。
「わが指のオーケストラ」という漫画で有名な作品があります。
口話教育が盛んな時代に、
手話教育を絶やすことなく、頑張った人たちの話です。

その原作である、

「指骨」
川渕依子著
1967 新小説社

を読みたいと思いました。

モデルになった校長先生の娘さんが書かれたこの本を求めた時、
これも、市立図書館での事でしたが、
遠くの地方の図書館から取り寄せてくださいました。

ここ、県立図書館では
県下の公共図書館を意識して、つなげており、
ネットで横断検索できるシステムを作ったり、
図書館同士で情報を交換し合うサイトも設けております。

じゃ、また、難聴のお話に戻ります。
次に、大人の難聴者へ移ってまいりましょう。

「わが国の身体障害児・者の現状」

という副題のついた

『平成13年度身体障害児・者実態調査結果報告』

が、
社会科学のレファレンスの近くの開架書架にあります。

それによりますと、
平成13年6月には、
324万5千人の身体障害者がいて、
そのうち、
聴覚・言語障害が、
34万6千人となっています。

これを、年齢別に%で表した数字を、
表にしてみました。

60歳以上で、74.9%を占めます。

また、
40歳以降で、増え方が大きくなっているのも分かります。

では、どのようにして難聴になっているのでしょうか?

騒音性難聴というのがあります。

沖縄にある米軍嘉手納基地からの騒音によるものだとか、

採掘現場の騒音によるもの

それから、
音楽によってなる難聴

去年放送されたテレビドラマ「砂の器」で、
主人公が作曲していた曲は、
本当は、この方が作曲していたものです。
天才バイオリニスト千住真理子さんのお兄さんでもある、
この方は、講演などで音楽の持つ怖さを取り上げています。

その中のひとつが、大音量のステージでなる難聴です。

また、突然の大きな音でなる難聴。

先に紹介した事件での爆発音によるものです。

そして、
突発性難聴という病気でなる難聴。

この方がそうだし、

次のニュースで紹介されているのは、
要約筆記のボランティアをするつもりだったのが、
約3年前に聴力を失い、逆に要約筆記を頼む立場になった、
というものなんです。

先に紹介したJリーグの選手も、この病名でしたね。

それから、
ゆくゆくは老人性難聴になる人でも、
実は、難聴はもっと若いときから始まっている場合もあるようです。
その難聴になるのが急激に進むのが、
進行性難聴。

このように、
聞こえなくなる、難聴になるには、様々な原因があります。

また、原因不明も…

原因別状況についての調査もありました。

事故によるものが、10.1%
病気によるものが、18.8%

などなどですが、
その他・不明・不詳などの部分を合わせると、
56.6%もありました。

今度は、また、本の話に移ります。

図書館で調べるには、
さまざまな参考文献・統計資料が威力を発揮します。

でも、普通の図書も忘れてはいけません。

『突発性難聴の正しい取り扱い』

という本には、
ずいぶん詳しいことが書かれており、
多くを知ることができます。

ちょっと、読んでみますね。

この本では、
急激に生じた感音性難聴すべてを意味する広義のものを

突発難聴 または 急性感音難聴

とし、

現在において、(突発性難聴は)
原因が不明または不確実のものだけに限定されている

1973年(昭和48年)厚生省難病対策の特定疾患に指定され、
その診断基準および聴力回復の判断基準が確立されました
(1984年に改定されています)

突発性難聴についての数字がありますが、
グラフで、イメージだけを受け取ってくださってかまいません。

1971.7~1973.6 調査による、
推定発症者数は、年間3000~5000人

1987年(昭和62)年度には、
全国の推計受療者数は、年間14,000~19,000人(平均16,700人)

1972年度の3~4倍の増加

1993年(平成5年) 21,000~27,000人
2001年(平成13年) 32,000~38,000人

真に発症が増加しているか、あるいは受診率の増加によるものか 、
おそらく両者が関与している

特に増加が見られるのは若年層ではなく
男女とも40~70才代、
特に50~70才代の女性に増加している

この病気は、気に留めていると、
意外に多く、あちらこちらで見受けられます。
有名な人にも、なった人がいます。

ノーベル物理学賞を受賞された朝永振一郎さんの著作集の一巻には、
突発性難聴になって入院した様子を書いてある文章が載っています。

難聴としては、最後になってしまいましたが、
老人性難聴にまいります。

ニュースでは、
哀しいものが多く見受けられました。

豪雨でとりのこされた70歳代の夫婦、

悪質リフォームで被害にあった事例
さっき、ささっと移ったものですね。

消費者金融で提訴したもの。
ここでの被害者は、目も見えない難聴者でした。

データーベースなどでいろいろ調べ物をしている途中、
こういう事件でなくとも、
普段の暮らしで、なにかと虐げられている老人の姿が、
投書など、目に付きました。

これから、高齢化社会を迎えるというのに、
困ったことです。

でも、
いいニュースもありました。
こちらです。

病院でテレビの音を、
手元のスピーカーで聞けるようにした、
というものです。
赤外線補聴システムの応用です。

歳をとったら視力も衰えるので、
字幕より、こっちがいい人もいるのでしょう。

どう老人性難聴に接したらいいのか?
という問いに答えた記事が一つありました。

画面の下のほうにポイントがまとめてあります。

ここで、もう一冊ご紹介しましょう。
最後の一冊だから、
今しばらく、辛抱を…

中公新書で出ていて、最近活字の大きい本としても出版された、

『耳科学』

という本です。

難聴について幅広くふれていながら、
ところどころ深く学問的なことも書いてある本です。
その中で
老人性難聴について次のように記してあります。

中枢神経内の聴覚系の神経細胞が消滅することにより、
音の分析能力が低下する

つまり、言葉の明瞭度が低下する

音が聞こえても意味がとりにくい
方向性も低下する

これらの事実が、
高齢者では補聴器を装用して音を大きくしただけでは、
あまり役に立たないことにつながる

このように学問的にきちんと理解して、老人性難聴に向き合うと、
これまでの接し方と少し違って接せられるかもしれませんね。

老人性難聴については、午後の分科会で、
岡山大学名誉教授の小倉先生にお話いただく予定ですので、
役立てていただきたいと思います。

さまざまな難聴をご紹介してまいりました。
難聴がらみで、最後にもうあと二つほど、
紹介します。

聴覚障害者の情報保障手段として、要約筆記があります。
今は、前ロールという方法で情報保障していますが、
午後の分科会では、実際に要約しながら、
特殊な機器をもちいておこないますので、
そちらも是非ご覧ください。

次に紹介するのは、
その要約筆記のボランティアをしている方が、
ご自分の職場で要約筆記を活かしたものです。

プラネタリウムのある科学館の売店で働く方がボランティアで要約筆記をされています。
そのつながりで、プラネタリウムに字幕がつき、
聞こえない人もプラネタリウムを楽しめるようになりました。

さまざまなところへ日本語字幕をつけるのも、要約筆記の活動です。
岡山要約筆記クラブでも、
上映しているスクリーンに日本語字幕をつけたことがあります。
何年か前に、「ピンポン」という作品に字幕をつけた時など、
映画の公式サイトで話題にもなりました。

聞こえない人のコミュニケーション手段として、手話があるのは、
皆さん、よくごぞんじのとおりです。

その手話に関心ある方が、イルカの調教師をやっています。
その人が、
観客席で手話をしている親子を見かけたり、
聞こえずあきらめて途中で退場する方を見て、
手話に挑戦し、
手話で、イルカショーを楽しめるようにしました。
鹿児島の水族館の話です。

聞こえる方に、
聴覚障害に関心を持っていただけたら、
このように、私ども聴覚障害者の世界がそれだけ広がる、
可能性が増えます。
どうぞ、宜しくお願いしますね。

プラネタリウムの記事も、
イルカショーの記事も、
地方の新聞からでした。
この図書館には、主要全国紙だけでなく、
数多くの地方新聞があります。
それらのほとんどは、書庫にあって、目に付きませんが、
まず、ほとんどの方が驚くほどある、と私は思います。

驚くほどあると言えば、
今日はまったく取り上げませんでしたが、
雑誌も多いのですよ。
300以上あるところまでは確認しましたが…

私の母校、丸の内中学校の跡地であるここに、
県立図書館が開館して一年近くになります。
もう100万人以上入館しましたね。

天神町にある、あの坂道を登り、階段を上がり、
そうして、重いドアーを二つも押し開いて、
ようよう入れる旧館を、
30年余り前から利用してきたものとしては、
この盛況は感慨深いものがあります。

去年の旧館閉館前には、
毎月1万人余り、閲覧していた記録が、
新館開館後、月に7万から10万ほどの入館者数となっているのです。

新館の魅力は、いろいろたくさんあり、
利用される方、それぞれ贔屓があるでしょう。
大きく分けて、

資料、機能、職員、

となると思われます。

いずれも、利用する人がよりよく活用すればするほどに、
もっと、良くなるものばかりです。
ご一緒に、活用して、もっと素敵な図書館にしていきましょう♪

引き続き、図書館からのご案内を、お聞きください。
by kimipoem | 2005-10-22 12:45 | 聴覚障害
<< 情報社会のなかの難聴の世界 (前半) 2005年初夏の手前 >>




ポケットには納まりきれないものを…(笑)
by kimipoem
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧